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日比野庵・メルマガ版 No.0040 2009.10.16
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こんにちは。日比野です。
先週までは、本の市場性について述べましたが、今週は本の専門性について触れ
たいと思います。
■ 本の専門性
本に対して専門性の得点が高いのは、もう言うまでもなく、学術書、専門書がそ
うですね。それぞれの分野に対して、専門的で奥深い研究結果などが一杯詰まっ
た、知のデータベースです。これら学術書は、普通の人が読んでもさっぱり分か
らないですし、それ以前に興味すら持てないケースが多いかと思います。
こうした専門性の高い本は、それが対象とする市場は極めて限定されたものであ
り、本を作る段階ですでに、ベストセラーになる確率は非常に低いことは分かっ
ています。したがって、発行部数も限られたものとなり、本単体としての値段は
採算を考えなければならない分、割高になります。
こういった専門書の類は、商売だけを考えた考えた場合、割に合わないもので、
金儲けだけを考えると積極的に作って売る理由がありません。ですが、それでも
専門書が発刊されているのは、確かにそれが必要とされているからなのです。
もしも、「専門情報」が全く記録に残されることがないと、いろいろ困ったこと
が起こります。現代社会は多かれ少なかれ、専門情報や過去の研究結果を下敷き
にして、文明が作り上げられており、それがないと成り立たないからです。
たとえば、原油の精製技術に関する素晴らしい研究結果を纏めた本があったとし
ましょう。一般人には特に必要ない情報ではありますが、これがないと、原油精
製ができなくなって、ガソリンから、灯油から必要不可欠なエネルギー源が無く
なってしまいます。いくら溢れんばかりの原油の海が目の前にあっても、途方に
くれるだけなのです。
アメリカが偉いと思うのは、あれだけ合理主義で、金儲けだけを考えていながら
知識や学問の価値を認め、世界中から優秀な才能を呼び寄せ、研究させているこ
とです。尤も、成果がでないと途端に解雇されてしまうという厳しい社会ではあ
りますが、才能および成果には、それに見合った報酬をきちんと支払うという精
神が、アメリカをあそこまでの大国にのし上げたのだと思います。
本は原始的な形ではありますが、情報記憶媒体としての役目を果たしますから、
一旦、本の形にして残してしまえば、その知識は後世に伝えることができます。
ですから、こうした専門性のポイントの高い本は、たとえその対象とする市場が
狭いものであったとしても、なくてはならないものであり、いつの時代も必要と
されるものです。ただし専門性が深く、最先端になればなるほど、新しい理論や
発見によって覆される危険も同時に秘めており、賞味期限がどこまであるかにつ
いては発表された時点ではなかなかわかりません。
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