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日比野庵・メルマガ版 No.0029 2009.07.28
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こんにちは。日比野です。
■ 認識力について（３）
先週は、各々の見方の３次元空間的位置について述べたわけですが、今週はどう
やれば、その３次元的見方が出来るのかについて書いてみたいと思います。
何かの事象があり、それに対する様々な見方があったときに、それを弁証法によ
って統一するためには、それぞれの見方について三次元的な座標位置を確定して
おく必要があるわけですが、その個々の見方の座標位置をどうやって認識するの
でしょうか。それとも自らの座標位置を知ることは不可能なのでしょうか？
先週取り上げた仏教の例では、Ｚ軸として時間軸を設定したわけですが、現実の
人間は時間を遡ることは不可能ですから、お釈迦様に実際のところはどうだった
のかと伺うことはできません。ですが人間には考える力というものが存在します
。この考える力、思う力というものは、実は時間も空間も捻じ曲げて飛び越える
力を持っているのです。
最先端の科学の世界では、仮説モデルというものが良く使われます。宇宙の構造
や素粒子の世界を解き明かすために「仮にこうではないか」という仮想モデルを
作ってみて「実際もそうであったら、こういう結果が観測される筈だ」という想
定をして、それを実際に観測することで「仮想モデルは真実に極めて近いのだ」
という研究を行なっています。これを不明推測法といって、チャールズ・サンダ
ース・ピアスという人が提唱した思考方法です。
この不明推測法は、まず仮想モデルを頭の中で創造して作り上げてしまうことか
ら始まりますから、まさに考える力、思う力を駆使しているわけです。仮想モデ
ルを立てたあとは、観測や実験を行なうわけですが、その中でいくつかのモデル
は成立しないことが立証され、最後にひとつのモデルが残り、そのモデルが最も
真実に近いと認定されることになります。中にはその証明まで何年も何十年も要
することがあります。しかしながらそれらは、そうであると思い続けた人がいて
こそ始めて成し遂げられたことでもあるのです。ある仮想モデルを思いつき、そ
うである、と思った人にとっては、そのモデルが真実であった場合には、その瞬
間にモデルの証明に要する時間を飛び越えて、現実の事実として「思い」の中で
それを手にしているのです。
それはただの思い込みにしか過ぎないという声もあるでしょう。しかし、科学な
どの発達はその思い込みを前提にして「あのモデルが成り立つならば、これが成
り立つ」といった仮定を出発点にして組み上げられた理論を土台にしているもの
も多いのです。これなども未来社会を現在に持ってくるという時間を捻じ曲げた
例だといえるでしょう。
何やら大きく脱線してしまいました。３次元的見方をする条件については来週に
譲りたいと思います。
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