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         日比野庵・メルマガ版 No.0004 2009.03.24
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こんにちは。日比野です。

△- おしらせ ----------------------------
日比野庵・メルマガ版新作記念として、今週に限り毎日更新いたします。
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麻生総理が新幹線外交で頑張っていますね。最近は若者の車離れが激しいと聞き
ます。今日は、車の時代は終わってしまうのかというテーマの記事です。


■ ロボットレンタクシー 

金融恐慌がどんどん実体経済に悪影響を及ぼし始めている。09年3月期連結決
算で1000億円規模の赤字を計上したトヨタは、国内外で211万台以上の減
産を発表した。

金融恐慌の影響で、車が売れなくなっているのは勿論そうなのだけれど、国内に
目を転じると、特に若者層において、車に対するニーズそのものが変化してる。

朝日大学マーケティング研究所の2008年2月の調査によると、首都圏在住の20
歳~39歳男女で、車を持っている人の約7割は、週4日以上運転しないという。

その反面、「ちょっとした用事・買い物」の用途・目的で車を使う頻度が大きく
増えているのに対して、「テーマパーク」や「ドライブ」といった非日常のイベ
ント的な用途・目的で車を使う頻度は下がっていて、『自動車が単なる移動手段
としての道具と位置付けられ、長距離の移動を楽しく過ごすという意識が以前ほ
ど感じられない』と結論付けられている。

特に都会では、電車やバス網が発達しているから、無理して車を持つ必要までは
ない。だけど、有れば有るで便利だし、実際ちょっとした用事には使われている
という調査結果がある。また、田舎のように交通網が十分に整備されていないと
ころであれば、もっと車は必要とされる。

だから、自動車という存在自体が全く必要なくなるという事はない。小さな子供
が沢山いる家族には大きなワゴンは欲しいだろうし、病院に行くのにいつも救急
車を呼ぶ訳にもいかない。

本来の車の機能を考えた場合、その役目は人を含めた物資の輸送手段。その輸送
「手段」として個人の車のあり方を考えてみると、実に無駄が多いことに気づく。

普段の個人の生活で、365日、毎日24時間、物資の輸送手段を必要とする人
は少ない。輸送業を生業としている人でも寝ながら運転はできないし、食事や休
息だって必要。

車を単なる移動手段として考えた場合、必要なときに必要なだけあればそれで事
足りる。だけど、先の調査結果でも分かるように、週の半分も運転しない人が大
半を占める現状は、移動「手段」としての車が、普段の生活の中では僅かな時間
しか必要とされていないことを示してる。駐車場で寝かされている時間のほうが
ずっと長い。

これを企業の商品に置き換えて考えてみると、めったに売れない商品を「在庫」
として抱えていることと同じ。駐車場代という名の倉庫代は嵩むし、持ってるだ
けで税金も取られてゆく。企業経営的感覚からみれば、持っているほうがおかし
い、レンタルで十分だと考えるのが普通。

だから、これからの社会は、車を必要とする状況、つまり車が欲しい時間と場所
がより個人の要求に沿ったものになっていって、在庫は極力持たない方向にシフ
トしてゆく。

本当にその個人にとって、ピンポイントで必要な時間と場所に車が欲しい。そん
なニーズが広がっていくことは疑いない。

ちょっとした用事・買い物の用途・目的で車を使う頻度が大きく増えているとい
うニーズを考えたとき、車を持っていない人達にとって、それに応えるものがあ
るとすれば、タクシーとかレンタカーがそれにあたるだろう。

バスはそのニーズを満たすには物足りない。バスに乗るには、まずバス停に行か
ないといけないし、時刻表どうりにしか運航しない。時間や場所に制約がかかっ
ている。車がない人だって、欲しいのはそんな制約のない移動手段。

では、タクシーやレンタカー業界がもっと伸びるのかと言われるとそれも少し違
う。現状では利用コストが高すぎる。

実際問題として「ちょっとした用事・買い物」程度であれば、半径10Km程度乗
れれば十分。

それなのに、初乗り700円とか、6時間レンタルして5000円とか取られる
と、気軽には使えない。やっぱり高い。ジュース1本、ワンコイン100円で
10kmくらい走れるお手軽な車であってほしい。

たとえば、タクシーのように向こうから自分のところに来てくれるのだけれど、
レンタカーとして使える車。いわば無人ロボットレンタカーとか作れないだろ
うか。

アメリカのTORCテクノロジーズ社は、バージニア工科大学で自動操縦技術の
研究開発を進めるグループ(USG)と提携し、世界初のロボットカー仕様のハイブ
リッドSUV「Ford Escape Hybrid」の提供を開始している。

このシステムは緊急非常停止装置「SafeStop」を搭載し、アクセル、ブレーキ、
ハンドル操作の自動化を実現しているという。

アメリカでは、市街地で競い合う無人ロボットカーレース「Urban Grand Chal
lenge」も行われており、昨年11月に行われた決勝レースに、このロボットカー
仕様ハイブリッドSUVも参戦し、見事に3位に入賞した。

こうした無人ロボット操縦技術やレーンサポートシステム、そしてバッテリー
性能が飛躍的に向上している電気自動車を組み合わせれば、コストの安い無人
ロボットレンタカーが実現できるはず。

たとえば、こう。

電気自動車に無人ロボット操縦技術を搭載したレンタカーを用意して、普段は
駐車場で満充電して待機。

お客さんから電話があれば、GPSを利用した自動操縦でやってきて、そこから
はお客さん本人が運転。

もちろん、本人確認や免許証の認証、その他、道交法の問題とかいくつかクリ
アすべき問題はあるのだけれど、いずれはこういったニーズに応えることがで
きなければ、車離れを止めることは難しいように思う。

1コイン100円で10Kmくらい走るように設定しておけば、都会でもそれ
なりに使われる筈。

ともあれ、自動車の技術革新を怠らず、また社会のニーズをしっかりと掴むこ
とができた自動車メーカーが、これから生き残ってゆくことになるだろう。


○完全自動操縦を実現するロボットハイブリッドSUV「Ford Escape Hybrid」発売
http://journal.mycom.co.jp/news/2008/06/13/025/index.html 

☆もっと詳しく読みたい方はこちら
「車という在庫」    http://kotobukibune.at.webry.info/200812/article_16.html
「次世代車の息吹」   http://kotobukibune.at.webry.info/200812/article_17.html
「ローソンレンタカー」 http://kotobukibune.at.webry.info/200901/article_9.html

☆━ 編集後記  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
もう10年近くハイブリッド車に乗っていますが、モーター走行時の静かさはす
ごいです。さらに信号停止のときは、完全にエンジンが止まりますから、外の音
が車内に入ってきます。電気自動車が普及したら、車の騒音という感覚が変わっ
てくるような気がしています。

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